Powered By Blogger

2015年6月22日月曜日

第3回日仏指揮法講座 (2015年7月24日〜26日)のお知らせ

フランスにおける伝統的な音楽教育の理念である "musicien complet" (完全なる音楽家)の育成を目指す、日仏現代音楽協会による指揮法講座、今年も7月に開講が決定いたしました。指揮法の実際を学ぶだけではなく、指揮者に必要な能力や音楽の読解力を深めるために、講座の内容は様々なスタイルのオーケストラ作品・オペラアリアを用いた指揮法実技に、スコア・リーディング、楽曲分析を加えた3つの科目からなっております。
講座の対象は未経験の方から大学等で指揮法を学んでいる方、あるいは演奏の現場で指揮活動をされている方まで、幅広い受講生のレヴェルに対応いたします。一流の講師とプロの演奏家たちのもとで実践的な指揮法を学ぶ絶好の機会、ぜひふるってご参加ください。


講師

阿部加奈子
パリ在住の指揮者、ピアニスト。 大阪に生まれ、2歳より音楽教育者・合唱指揮者の母親からピアノの手ほどきを受ける。 相愛音楽大学附属子供の音楽教室ピアノ科、東京藝術大学音楽学部付属音楽高校、東京藝術大学音楽学部作曲科を経て、パリ国立高等音楽院に入学。6つのクラスで学んだ後(和声、対位法、フーガ、器楽伴奏、オーケストレーション、楽曲分析)、 2002年同音楽院指揮科に日本人として初めて入学。在学中より様々なオーケストラ、アンサンブルに客演。
現代音楽に精通し、これまでにEnsemble L’Itinéraire, Ensemble 2e2m, Smash Ensemble, Ensemble Zellig, Tokyo Ensemnable Factory 等数多くの現代音楽アンサンブルを指揮し、90作を超える新作初演の指揮・演奏・録音を西ヨーロッパを中心とする世界各地で行っている。2002年に「武満徹ピア ノ作品集」のCDをHarmonia Mundi社よりリリースしたのを皮切りにこれまでに指揮・ピアノの両方で5枚のCDを録音。そのうちの1枚は Prix des lycéens賞にノミネートされた。またラジオ・フランスなどでのラジオ録音も定期的に行っており、2012年に録音したラジオ・オペラ「幻覚の夜」はPRIX ITALIA賞を受賞し、全ヨーロッパのラジオにて放送された。2005年にフランス人若手作曲家らと共に現代音楽アンサンブル «ミュルチラテラル»を創設し、2014年まで同アンサンブルの音楽監督を務めた。2015年現在、パリで新しく創設された現代アンサンブルMusica Universalisの芸術監督。
オペラ作品にも造詣が深く、パリ管弦楽団合唱団の練習ピアニストやオペラ公演のコーチ等を務めた後、2007~2008年にかけてモンペリエ国立歌劇場並びにモンペリエ国立管弦楽団の副指揮者として数多くの交響曲・オペラ公演を手がけ、Jerzy Semkow, Lawrence Foster, Enrique Mazzola, Alain Altinoglu, Friedemann Layer 等の指揮者及びRené Koering, Jean-Paul Scarpitta,Moshe Leiser等の演出家と協力し、公演を成功に導いた。2009年12月にはモンペリエ国立歌劇場にて「椿姫」を指揮。2009年シャトレ座での「魔笛」公演、2010年ストラスブール国立歌劇場での「マクベス」公演、チューリッヒ歌劇場での「ジェズアルド」世界初演の副指揮者を、さらに2014年夏にはファビオ・ルイージの指名により副指揮者としてイタリアのマルチナ・フランカ音楽祭にてアルフレッド・カゼッラ作曲のオペラ「蛇女」の公演をそれぞれ手がけた。
レパートリーはバロックの弾き振りから現代作品まで実に幅広い。現在までにモンペリエ国立管弦楽団、リール国立管弦楽 団、ニース交響楽団、カーン管弦楽団、ロレーヌ国立管弦楽団、バスク交響楽団、オーベルニュ室内管弦楽団、アモル交響楽団(韓国)、ルーマニア国立放送管弦楽団、ヤナーチェク・フィルハーモニック管弦楽団(チェコ)、パドゥルー管弦楽団、イル・ド・フランス国立管弦楽団等のオーケストラを指揮し、またEmmanuelle Bertrand, Henri Demarquette, Cyprien Katsaris, Eric Aubier, David Guerrier, 広瀬悦子、萩原麻未等のソリストと共演している。2014年にオーケストラ・ニッポニカを客演し、日本デビュー。今後の客演先としては、東京シティーフィルハーモニック管弦楽団、群馬交響楽団、ピカルディー管弦楽団、ヴェトナム国立交響楽団等が挙げられる。2014年より、インドネシア建国史上初のクラシック音楽専門のユース・オーケストラとして新設されたインドネシア・ユース交響楽団の音楽監督。
2011年3月11日の東日本大震災勃発の2日後に「パリ東日本大震災チャリティーコンサート実行委員会」を創設。パリ国立高等音楽院、パリ日本文化会館、パリ市内の教会や市役所などの協力のもと数々のチャリティーコンサートを企画。それら一連のコンサートの締めくくりとし、2011年4月10日ユネスコ本会議場にて有志によるオーケストラコンサートを開催。実行委員長としてジャポネード・オーケストラ並びにジャポネード合唱団を指揮した。翌2012年3月11日には震災1年後の「復興メモリアルコンサート」の指揮者として、佐渡裕と共に再びユネスコの舞台に立った。



講習内容
1. 指揮法実技
2台ピアノまたはピアノ連弾による演奏を実際に指揮していただきます。必修曲に加えて、選択課題曲リストおよびオペラ・アリアの中から任意の楽曲(もしくは楽章)をお選びください。また、課題曲以外で受講生の方が近々に指揮する予定の作品などがあれば、スコアの準備や譜読みの仕方、練習の進め方などについて講師が助言することも可能です(ご希望の方はお申し込みの際に予めお知らせ下さい) 。
お一人当たりのレッスンの持ち時間は、受講生の人数や習熟度、選択楽曲によって異なりますが、概ね60分〜90分程度とお考えください。なお選択した課題曲については、遅くとも講習の2週間前までに事務局へお知らせください。

必修曲
・プッチーニ 「マノン・レスコー」より三幕への間奏曲 (Intermezzo)

課題曲(以下のリストから2、3曲を選択)
・モーツァルト 交響曲第四十番
・ベートーヴェン 交響曲第九番
・メンデルスゾーン 交響曲第四番「イタリア」
・ヴェルディ 「運命の力」序曲
・ドヴォルジャーク 交響曲第九番「新世界より」
・ストラヴィンスキー 協奏曲「ダンバートン・オークス」

オペラ・アリア(以下のリストから1曲を選択)
・モーツァルト 「フィガロの結婚」第4幕よりスザンナのアリア "Giunse alfin il momento"
・ビゼー「カルメン」第3幕よりミカエラのアリア "Si je dis que rien ne m'épouvante"
・プッチーニ「ラ・ボエーム」第2幕よりムゼッタのアリア "Quando me'n vo' "

2. スコア・リーディング
ご自分が指揮法講座で取り上げる選択課題曲の一部を、ピアノで演奏していただきます。スコア全体の演奏が困難な場合、任意のパートやセクションのみを弾くのでも構いません(演奏箇所の選択に迷われた場合や、ピアノ演奏を著しく不得手とされる場合は、事務局までご相談ください)。

3. 楽曲分析
課題曲の中から選ばれた作品の幾つかを、講師の先導で分析していきます。作曲学的な見地からの分析に加え、指揮という演奏行為に即した視点からも楽曲を捉えていくことを目指します。取り上げる楽曲や楽章については、講座の10日前を目処に受講生の方にお知らせし、本ブログにも掲載致します。


日程
7月24日(金)
17:00-21:00  オリエンテーション、スコアリーディング、楽曲分析
7月25日(土)
11:00-15:00  指揮実習1
17:00-21:00 指揮実習2(コンサートサロン)
7月26日(日)
12:00-16:00 指揮実習3(オペラアリア実習、コンサートサロン)

※24日に参加できない受講生の方で、25または26日に指揮法実技とともにスコア・リーディングの受講を希望する方は、事前に事務局までご相談ください。

会場
コンサート&リハーサルサロンばっはハウス(西武池袋線「椎名町」駅下車)
〒171-0051 東京都豊島区長崎2-3-19
TEL 050-5809-5375


対象
受講生(定員最大10名)
- 指揮法を既に学んでいる方
- 合唱、アンサンブル、吹奏楽、オーケストラなどを対象にした指揮活動を行っている方、またそれらの活動を目指している方
- 音楽大学などで音楽の専門教育を受け、基礎的な音楽に関する知識は身につけているが、指揮法の勉強は未経験の方
-フランス式の指揮者教育を体験したい方や、将来的にこの分野で留学を考えている方

聴講生(定員なし)
事前に事務局までお申し込みいただければ、専門的な知識の有無に関わらず、どなたでも聴講ができます(各日とも講習の妨げとならない範囲で会場への出入りは自由です)。ただし、受講生多数の場合はお断りさせていただく場合がございますので、予めご了承ください。


参加費用
受講生 
30,000円 (日程や受講内容において部分参加をご希望の場合、別途お問い合わせください。)
聴講生 (要予約、ただし人数に余裕がある場合は当日入場も可)
各日2,000円(25, 26日は2日間で3,000円)


お申し込み・お問い合わせ 
日仏現代音楽協会事務局
080-2257-7595

※受講生としてお申し込みの方は、お名前、ご連絡先(メールアドレス及びお電話番号)と併せて、
-音楽学習歴もしくは音楽活動歴(簡潔なもので結構です)
-指揮法を学んだ経験の有無 (経験ありの場合にはその内容や期間について)
をご記入ください(過去の「日仏指揮法講座」に参加された方は、活動歴や経験の記入は不要です)。



出演者プロフィール

伴奏ピアニスト
石井佑輔(25・26日)
国立音楽大学作曲学科卒業後、渡欧。フランス、パリ国立高等音楽院(CNSM)エクリチュール科および歌曲伴奏科をDFSを得て修了。またブーローニュ音楽院(CRR)ピアノ科一等賞及び最高課程卒業後、ドイツ、フランクフルト音楽表現芸術大学大学院にてアンサンブル・モデルン国際アカデミー(IEMA)を奨学生として修了。
第14回ハビエル・モンサルヴァーチェ国際ピアノ現代音楽コンクール(ジローナ)2位、オルレアン国際21世紀ピアノコンクールにおいてナディア・ブーランジェ賞、アンドレ・ジョリヴェ賞を受賞。第6回イヴァル・ミカショフ・トラスト・ピアニスト/作曲家委嘱プロジェクト優勝。その他作曲、新曲初演、リサイタル伴奏等の活動、またA.ルヴィエ、G.ペッソン、M.マタロン、J.ルノ、J.M.ロペスロペス、横井佑未子等の多くの作曲家の初演、演奏にも関わっており、20世紀の埋もれた作品の再演にも力を注ぐ。これまでにピアノを西村菜穂子、H.カルティエ=ブレソン、M-P.シルゲ、伴奏を今村央子、A.ル・ボゼックの各氏に師事。第10回TYサポートプログラムの助成を受けて初CD「ジョリヴェ/ヴァレーズピアノ作品集」をコジマ録音よりリリース。またフランスのレーベルLyrinxより「A.ジョリヴェ/J.ルノ ピアノ作品集」をリリース予定。

安田 結衣子(25日)
京都市立音楽(現京都市立京都堀川音楽)高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。同大学卒業時にアカンサス音楽賞受賞。2007年、パリ国立高等音楽院ピアノ伴奏科に審査員の満場一致で入学、2010年、同音楽院を最優秀の成績で卒業。在学中より同音楽院や地方音楽院、コンクールや合唱団などで公式伴奏者を務めるほか、ソロ、室内楽においてもヨーロッパ内外で活躍。新曲初演も多数行う。2008年、Ensemble intercontemprain とパリ国立高等音楽院による合同コンサートに出演。2009年、同音楽院にて Ircam (フランス国立音響音楽研究所) 企画のコンサートに出演。2010年、Klangspuren Schwaz音楽祭にインターナショナルアンサンブルモデルンアカデミー生として参加。2012年、第10回現代音楽演奏コンクール <競楽 X> 入選。2013年、初のリサイタルを開催、好評を博す。作曲家としても関西フルートオーケストラ、トランペットグループ ‘サマーブリーズ’ 、けいはんなフィルハーモニーオーケストラ、Trio Rintonareなど、委嘱作品多数。これまでに作曲を葛西進、小鍛冶邦隆、松尾祐孝、ピアノを故J.Koerner、J.F.Neuburger、播本枝未子、森下和希、雨田真由美、後藤由美子、室内楽を Claire Desert、Laszlo Hadady の各氏に師事。 2011年帰国後は、日本を中心にピアニスト・作曲家として活動。現在、東京藝術大学音楽学部、東京藝術大学附属高等学校非常勤講師。

瀬川裕美子(26日)
1986年東京生まれ。国立音楽大学附属幼稚園、小、中、高等学校を経て国立音楽大学を2009年3月に首席で卒業。武岡賞受賞、並びに鍵盤楽器ソリストコースを最優秀で修了。また在学2年次、3年次に最優秀にて岡田賞受賞。第27回日本ピアノコンクール特級の部第1位、第7回ショパン国際ピアノコンクールIN ASIA大学生部門金賞及び審査員特別賞受賞。レインボウ21サントリーホールデビューコンサート2007にピアノ独奏で出演。卒業後、国立音大主催の定期演奏会にて舞踊家、田中泯氏と共演。2013年3月より、バッハからショパン、フランス近現代、邦人作品まで音楽史を踏まえ、様々な視点のプログラムでソロリサイタルを開始し、本年6月に東京文化会館小ホールに於いて、夏田昌和氏の委嘱作品、バッハ『ゴルトベルク変奏曲』等のプログラムで第4回目を開催した。三浦章宏氏のヴァイオリンリサイタル共演等、アンサンブル奏者としても活動中。伴奏法を静岡音楽館AOIにて2009年から2014年にかけて、第4期,6期,8期「ピアニストのためのアンサンブル講座」受講生として野平一郎氏に師事。日仏現代音楽協会会員。


オペラアリア実習
吉川真澄
岸和田生まれ。相愛大学音楽学部声楽専攻卒業。桐朋学園大学研究科声楽専攻修了。
これまでにオペラ「ポポイ」(間宮芳生作曲)、モノオペラ「邪宗門」(平野一郎作曲)世界初演をはじめ、多くの新作初演に関わっている。近年は「歌われる詩たち」という連続コンサートを企画し、新作童謡の初演も含め日本語の歌を歌う事に力を注いでいる。CD録音には武満徹の歌曲をギターアレンジで歌った「Pop song」や「お豆の物語&ゆきむすび」がある。第7回松方音楽大賞受賞。平成16年度文化庁国内芸術インターシップ研修生。日仏現代音楽協会会員。http://masumi-yoshikawa.jp


楽曲分析
台信  遼
1982年熊本生まれ。国立音楽大学を首席卒業、パリ国立高等音楽院作曲科修士課程及び管弦楽法科をいずれも最優秀の成績で修了。作曲を夏田昌和、フレデリック・デュリユー、ジェラール・ペッソンほか各氏に、楽曲分析をアラン・ゴーサン、ミカエル・レヴィナス各氏に師事。これまでにLa Biennale di Musica(ヴェネツィア)、Mlada Praha(プラハ)、Carte Blanche(パリ)、Réunion internationale Gaudeamus-Montréal(モントリオール)などの音楽祭・コンサートに招待されており、作品はEnsemble Alternance, Ensemble Cairn, Ensemble Court-Circuit, L'Instant Donné, Ensemble La Machine, Ensemble Neige, mmm...などの演奏団体によって、フランス各地をはじめイタリア、ベルギー、チェコ、カナダなどで演奏されている。2014年にはコルベイユ=エソンヌ(フランス)の芸術週間において、室内楽作品の個展が組まれた。現在、国立音楽大学講師、日仏現代音楽協会会員。